NO.34<税務Q&A_事業承継>非公開会社において、株式が分散されていることのメリットとデメリットを教えてください。

Category: ■ 事業承継Q&Aについて

メリットは、経営株主の会社の私物化を防ぎ、ガバナンスが強化されることや後継者に株式を移転させる際の相続税・贈与税負担が軽減されることです。デメリットは、少数株主リスクにより経営に悪影響を及ぼす可能性があることです。

私見ですが、非公開会社のオーナーは100%株式を所有すべきと考えております。

理由は、少数株主はさまざまな株主の権利を有しているからです。例えば、1株でも所有している株主は、株主代表訴訟を起こすことができます。また、3%以上の株式を所有している株主は、会計帳簿の閲覧権を行使できます。ただし、ここまでの権利は、経営に直接脅威をあたえるとまで言えません。

一番の脅威は、株式の譲渡承認請求に伴う株式買取請求です。仮に少数株主が当該権利を行使した場合に、自社が株式を買取る必要性が生じます。まず、会社と少数株主間での交渉により、買取価格が協議されますが、合意できなかった場合は、裁判所が決定する価格により買い取ることになります。この場合の価格は、一般的に会社が提示した買取り価格よりはるかに高額となる可能税があります。この場合は、企業の資金繰りが悪化し、最悪の場合は、廃業せざるを得ない状況に追い込まれる可能性もあります。

上記より、少数株主リスクの観点からは、株式の分散は早期に解消すべきです。当事務所は、株式集約方法や分散させない仕組みづくりのノウハウを豊富に有しておりますので、お気軽に田村までお問い合わせください。

参考:法人税の観点からは、同族株主で100%株式を所有している方が、グループ法人税制を活用できるため、有利となります。