NO.17<税務Q&A_事業承継>子供や孫に贈与する場合の注意点を教えてください。

Category: ■ 事業承継Q&Aについて

1.はじめに

実務では、贈与事実を第三者に証明できることが大事です。ちなみに贈与税の申告と納税だけでは、贈与事実を証明できません。

今回は、税務署などの第三者に贈与事実を証明するための方法をお伝えします。

2.贈与の際の留意点

①毎年の贈与契約書の作成

贈与は、贈与者のあげると受贈者のもらうの合意のみで成立し、贈与契約書の作成は必須ではありません。しかし、契約書がない場合は、いささか説得力に欠けますし、税務調査など第三者に贈与の事実を証明することが困難となります。

そのため、贈与の際は、毎年贈与契約書を作成することが必要と考えます。その際、必須ではないですが、証明力を高める観点から、署名と実印で押印することをおすすめします。

②名義財産でないこと

現金の贈与は、子の銀行口座への振込により記録を確実に残すことが大切です。

その際、子名義の銀行口座と印鑑は子が管理し、子が自由に銀行口座を利用できるようにします。仮に親が子名義の銀行口座を管理した場合は、名義預金となります。名義預金とは、真実の預金の所有者が子ではなく親であると認定されることで、過去からの子への贈与が認めらず、相続財産に足し戻される可能性があります。

③贈与税の申告書の控えと納付書の控えを保存すること

暦年贈与の場合に、110万円の基礎控除額を超えた場合は、子が贈与税の申告を行い、併せて子が預金口座から贈与税納税を行うなど、贈与事実を確認できるようにする必要があります。また、贈与の証拠資料の1つとなる贈与税申告書と納付書の控えを保存してください。税務調査の際に、控えがあった方が調査の進行がスムーズになることが実務上多いです。

3.さいごに

贈与税の税務リスクは避けるために、あえて基礎控除額110万円を少し超える額(例えば111万とか)贈与をし、贈与税の申告と納税をする方がいますが、個人的には、2.①と②を満たすなら、あえて110万円を超える贈与をし、贈与税の申告と納付をする必要はないと考えます。

贈与は当事者間の合意があれば成立します。

つまり、110万円以下の贈与でも、贈与者のあげると受贈者もらうといった合意が有りかつ第三者に証明できれば、贈与が否認されることはないと考えます。